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コラム

2023.06.23

アライメント×DIY

アライメント調整は自分でも出来るのか?

アライメント調整をDIYで行う方法を解説します。

車のアライメント調整は難しそうなイメージがありますが、
トー・キャンバーといった主要な項目だけであればDIYでおおまかな調整を行う事は可能です。

足回りを触る作業となりますので、大きな危険が伴います。
ジャッキアップした車は想像以上に不安定です。車の下に入る場合には、必ずリジットラックを使用し、万一に備えて一人での作業は行わないでください。
また、確実な作業を行わないと、走行中に操舵が効かなくなったり足回りが脱落するなど、人を巻き込んだり、命に関わる重大事故につながる恐れもあります。
不安がある場合には無理に作業を行わなわず、プロに依頼してください。

アライメント調整とは

車に対して、タイヤを含む足回り全体の角度を測定・調整する事をアライメント調整と言い、走行性能に関わる重要な点検項目となります。
足回りの角度は、自動車メーカーによって、車種やグレード毎に非常に細かく定められており、この角度により直進安定性・コーナリング性能・ハンドリング・タイヤの摩耗などをコントロールしています。

  • 進行方向に対するタイヤの角度(トー角)
  • 垂直方向のタイヤの角度(キャンバー角)
  • 操舵軸の傾斜角度(キャスター角)

など多岐にわたる角度がそれぞれ詳細に設定されており、基準値と呼ばれる範囲(数mm単位の精細なものです)にこれらが収まっている事で車本来の走行性能が発揮できるよう設計されています。
これらの角度は、走行による衝撃や経年変化で、徐々にずれてしまうため、気が付かない間に基準値をオーバーしたり、左右で差が生じたりして、車本来の走行性能が発揮できない状態になっていたり、タイヤが減りやすくなってしまう事もよくあります。
また、車高を変えたり、足回りの部品を交換した場合にはアライメントは必ずずれてしまうため調整が必要となります。
直進性や安定性に違和感が出てきた、車が左右に流れる、ハンドルが傾いている、足回りの部品を交換した などに該当する場合には、アライメント調整が必要かもしれません。

一般的にはタイヤショップなどのプロに依頼するアライメント調整を、自分で行う場合の手順を解説します。

目次
①準備
②DIYアライメント作業の流れ
③手順
まとめ

①準備

まず水平な場所とジャッキアップできる設備を用意してください。

【工具】

  • 測定用:糸・重り・マスキングテープ・定規・同じ大きさの箱やブロックなど2個
  • 調整用:モンキーレンチ・スパナ・ジャッキ・リジットラックなど

【データ】

正しいアライメント調整を行うには、車両ごとに決められたアライメント基準値 というデータが必要になります。
DIYでの調整では、精細な調整は難しいので基準値に調整する事はそもそも難しいのですが、
大体の傾向をつかむ目安となるのであったほうが良いです。

※アライメント基準値内には様々な項目が有りますが、DIYで調整を行う場合、現実的に調整できるのは「トー」・「キャンバー」の2項目になるので、最低限この値があればOKです。
トーは日本では「mm」の単位。 キャンバーは角度なので「度」です。

今回の内容も、DIYで作業可能な「トー」・「キャンバー」に絞ってお伝えします。

②DIYアライメント作業の流れ

車種により調整可能な箇所が異なりますので、どこが調整できるのか事前に調べておきます。

  • コンパクトカーやコンパクトミニバンなどでは、フロントのトーのみ調整できる車が中心です。
  • スポーツカーや欧州車、大型車などでは、前後のトー・キャンバー またはその一部が調整できるケースがあります。

お店にあるアライメントテスターでは、数値の変化を見ながら調整が出来るのですが、
DIYでは、調整作業を行っている最中には測定値を知る事が出来ないので、
調整と測定を繰り返しながら適正値に近づけていきます。

③手順

キャンバー測定→キャンバー調整→トー測定→トー調整 といった順に進めて行きます。

リア側の調整が出来る場合はリアからやります。

  • キャンバーの測定と調整の概要

    キャンバーは車を前から見たときに左右のタイヤの角度がハの字になっているか、垂直か、または逆ハの字か、というような事をあらわします。
    前からみて左右のタイヤがハの字のような角度になっている事をネガティブキャンバー・逆はポジティブキャンバーと言い、角度で表します。
    最近の車では、基準値がキャンバー角ゼロ(垂直)か、僅かにネガティブ(僅かにハの字)になっている事が多いです。

    ■ DIYでの測定方法
    ホイールに糸を垂らし、上側と下側の距離を測る事で大まかな角度を把握します。

    ■ 調整方法
    基本的にはキャンバー調整機構が付いている車のみ調整ができます。
    車種により調整方法は異なりますが、多くの場合、ロアアーム付け根部分に、写真のような偏芯カムボルトがついており、
    それを回すことで調整ができるようになっています。

    column_alignment_diy01.jpg

    偏芯カムボルトは、まさに芯が偏ったボルトなので、回すことで、対象のアームがあたかも伸び縮みしたような動きとなるため、
    結果としてキャンバーの角度を調整できる、といった仕組みです。

  • トーの測定と調整の概要

    トーは車を上から見たときのタイヤの角度です。左右のタイヤを上から見たときに、前開きになっているのがトーアウト
    後が開いた形になっているのがトーインです。タイヤが真っ直ぐ前を向き、左右のタイヤが並行に揃った状態をトーゼロなどと言います。
    一般にはトーゼロ~若干トーインを指定している車が多いです。(基準値がプラスの数値ならトーイン マイナスの数値ならトーアウトです)

    ■ DIYでの測定方法
    車の中心線に対し並行に糸を張り、ホイールの前と後ろの距離を測る事で大まかな角度を把握します。

    ■ 調整方法
    フロントであれば、タイロッドの調整機構を使ってトーを調整します。
    タイロッド自体が、伸び縮みする構造なので、これを使って調整。
    リアが調整可能な車種の場合は、アーム付け根部分の偏芯カムボルトなどでの調整となります。

    column_alignment_diy02.jpg

【作業手順】

  • 1,センター出し

    調整中にハンドルが曲がると、ステアリングセンターがずれてしまうので、
    センターで固定するか、難しければマーキングしておいてください。調整時は常にハンドルが真っ直ぐか注意します。

    column_alignment_diy03.jpg

  • 2,キャンバーを測定する

    ホイール上部から下部に向けて、重りの付いた糸を垂らします。

    column_alignment_diy04.jpg

    ホイールの上側と下側で、糸とホイールの間の距離を測ります。

    column_alignment_diy05.jpg

    column_alignment_diy06.jpg

    ■ 上下の距離が同じ →タイヤは車体に対し垂直のキャンバー角ゼロ状態です。
    ■ 上側の距離>下側の距離 → ネガティブキャンバー(いわゆるハの字)です。
    ■ 上側の距離<下側の距離 → ポジティブキャンバー(逆ハの字)です。

  • 3,キャンバーを調整する

    純正の基準値の傾向を見ます。大体0°~マイナス1°(わずかにネガティブキャンバー)くらいが指定されているはずなので、上下が同じ距離になるか、または僅かにハの字に角度が付く程度に調整します。

    column_alignment_diy07.jpg

    偏芯カムのロックナットなどを緩めます。
    偏芯カムを回し、適正な角度になるように調整していきます。
    ※左右の差が無い事が最も重要なので、反対側も全く同じ角度(糸とホイール間の上下差が同じ)に調整します。

  • 4,トーを測定する

    前後のエンブレムなどを基準にして、車体の中心線と並行した糸をホイール付近に張ります。
    (同じ大きさの箱・コンクリートブロックや、写真のようなジャッキスタンドなどを活用)

    column_alignment_diy08.jpg

    ホイールの前側と後ろ側、それぞれ糸との間の距離を測定します。

    column_alignment_diy09.jpg

    column_alignment_diy10.jpg

    ■ 前側と後ろ側の数値が同じ → タイヤは完全に真っ直ぐな トーゼロ状態になっています。
    ■ 前側>後ろ側 → トーインです。
    ■ 前側<後ろ側 → トーアウトです。

  • 5.トーを調整する

    純正の基準値の傾向を見ます。例えば0mm±3mm のような基準値だった場合、
    タイヤ全体としての外向きや内向きの範囲が、基本は0mm(完全に真っ直ぐ)で、トーイン/トーアウト方向それぞれに3mmなら変えてもよい、というような意味となります。
    (この3mmというのは、タイヤの全長に対しての範囲となります。)

    0mmで調整しておけば無難ですが、トーイン・トーアウトに調整したい場合にはタイヤ全長で3mmの許容範囲となり、今回はタイヤ全長より内側のホイール部分で測定しているため、ざっくりこの半分程度を許容範囲と考えます。
    つまり上記の場合、ホイールと糸の前後での差を、まったく同じ程度~1.5mm程度の差になるように調整するようにします。
    (一般的にはトーアウトになるような調整はあまりしないのでトーイン方向の調整となります。)

    ■ フロントのタイロッド調整のやり方
    赤丸のロックナットを緩めると、黄色のロッド全体が回転するようになる。
    黄色部分を回すとロッド全体が伸び縮みして、トーが動くので適切に調整を行う。

    column_alignment_diy11.jpg

    キャンバーと同様、左右の差が無い、という事が非常に重要となるので反対側も全く同じように調整します。

  • 6,最終確認

    ハンドルが真っ直ぐになっているかもう一度確認します。その状態でキャンバー・トーを再測定し、それぞれの値が適正か、を最終確認します。

  • 7,締め付け確認

    作業で緩めた箇所を、必ず締め付けなおしてください。
    作業中に締めたつもりでも、かならずもう1周して全て再確認しましょう。
    安全な状態になったら、試走して違和感が無いか確認し、終了です。

まとめ

如何でしたか?場所や道具が揃っていれば、DIYでのアライメント調整も出来ない作業ではありません。
一方、比較的簡単な車種でも半日程度、調整箇所が多い車ですと1日では終わらないケースもあり、なかなか手間のかかる作業でもあります。

冒頭に書きました通り、足回りの作業なので、もし間違いがあれば、操舵が効かない、足回りが脱落する、など命に関わるような重大な事故につながる可能性もゼロではありません。

DIYでのアライメント調整が難しい・面倒だ、と感じた方は、プロに任せてみては如何でしょうか。

タイヤ市場では、3Dアライナーを使用した本格的なアライメント調整を

■ 軽: 11,000円(税込)
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